-Uri Column- / Comics


THE ORIGIN。

人が生み出すものの中には、「以前」と「以後」をわけるなにかが出現することがあります。エポック・メイクなどとも呼ばれるその「なにか」は、それが属する流れの中で必然として出現し、存在する意味と意義を認知され、流れの中に定点として位置を確保します。

マンガでいえば手塚治虫以前と手塚治虫以後に分けられる、と言えるでしょう。映画でいえば、たとえばわかりやすさを基準に選べば「Star Wars」以前と「Star Wars」以後に分けられるかもしれません。

そしてそれらとほぼ同じ色彩で、「ガンダム」以前と「ガンダム」以後に少なくとも日本のアニメの流れは分けられるのではないでしょうか。

今さらガンダムについて論じる術も気もありませんが、時代を画したという一点においては、すでに論ずる意味さえなくしてしまっていると思われるほど、そのインパクトは重大なものでした。

ガンダムは、今まで数えるのが面倒なほどコミック化されてきたようです。が、なぜ今までなかったのかが誰も説明できないのではないかというくらい、至極あたりまえの作品がやっと単行本になりました。

ガンダムエース」に掲載されている『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』です。

テレビ放映第一作でキャラクターデザインを担当した安彦良和氏によるコミックは、当然ながら読者に圧倒的な本物としての存在感をもって迫ります。また、ほぼテレビ放映第一作に忠実なストーリーは、よりディティールを明らかにしながらも、新たな演出やエピソードを本筋の邪魔をしない程度に挿入することによって鮮度を保つことに成功しています。

掲載紙が創刊して約一年。「安彦良和がガンダムを描く」というニュースを読んだときの期待感は、裏切られずにすみました。

これほど幅広い年齢層に知られ、さまざまに研究され、読者のレベルも高く、それだけに評価も厳しくなるというある意味での悪条件の元で敢えて漫画化に挑戦した作者のモチベーションの高さに、ただただ脱帽します。

もとより作品全体の評価はそのストーリーがすべて完結しなければ下せないものであり、第一巻が出たばかりの本作を評価することは早計です。瓜生にできるのはただ、一年間発酵した期待感が今後も熟成を続け、さらなる美酒になってくれることを願うばかりです。

Last Update : 2002/06/11

<< back to TopPage