漫画のこと。

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『鋼の錬金術師』(9)

なんかよくない方向に行ってるような気がするのは筆者だけだろうか...。
手のひらを打つだけでなんでも生成してしまう、なんて奇抜な設定の割には、それをメインに持ってくるのではなく、なんとなく自然に物語のバックボーンに組み込んでしまうことによって「読み応え」を演出するという、そこにこの作品の魅力の一つがあったと思う。
加えて、登場人物一人一人がとてもよく描かれていて、互いの存在を邪魔することなく、かつしっかり自己主張をしているのもまた、読者に「早く次回を読みたい」と思わせる大きな要素となっている。(キャラクターにリアルな設定と「演技力」を与える力量は、ゆうきまさみに勝るとも劣らないと言っても決して過言ではないだろう。)
人気作品、ヒット作という評価は、決してフロックではない。

だけど。
実は8巻を読んだあたりから、ちょっとだけ不安になっていた。物語が広がりすぎてるんじゃないか、と。

エルリック兄弟の過去はまぁいいとして、「傷の男」のエピソードは放ったらかしのまま、ホムンクルスのエピソードに移ったかと思うと今度はシン国のリン・ヤオが登場して、と、ちょっと物語の展開が以前よりも矢継ぎ早になってきているような印象を受ける。
言うまでもなく、読者の興味を引っ張りながら複数のエピソードを同時進行させ、さらに最終的にそれらをうまくまとめて絡めるためには、相当高度な伏線と語り口が要求される。
が、伏線を用意するというのはなかなか難しく、作品の印象が解説調になったり、テンポやリズムがもたついたり、さらに読者がついてこられなくなるというリスクもある。
たとえば先ほど言及したゆうきまさみの『KUNIE』などは典型的な「伏線だおれ」だろう。ゆうきまさみが自身の文章
要するにいろんな意味で「面白くなかった」という裁定が下された
と告白せざるを得ないほど、伏線を張ったり謎を残したりするという展開は、興味を持続させる点では有効な手法だけれど、一歩間違えれば作品そのものを台無しにしてしまう、とってもリスキーなテクニックとなる。

単なる中だるみであればまだいいけれど、なんとなく「よくない方向」に向かっているような気もして、でもやっぱり最後には「おー、そーきたかぁ!」と感動させてくれるはずだ、という期待もまだまだ大きい、そんなビミョーな読後感を持ってしまった。

鋼の錬金術師(9)』荒川弘/スクウェア・エニックス
author : uriu | 過去録 | comments (0) | trackbacks (0)

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